なるほどですね

日々の「なるほど」やブログ運営の「なるほど」をカジュアルに紹介するブログ。

ようかいの自分探し「豆腐小僧」(京極夏彦)

妖怪の妖怪による自分探し

文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし

あばら屋にぽっと湧いて出た、お盆に豆腐をのせただそこに立っているだけの妖怪「豆腐小僧」を主人公にした自分探しのちょっとおかしな冒険譚。

妖怪なのに何もできない半人前の豆腐小僧の自分探し。という形をとりながら、妖怪視点で妖怪観を語るというユニークな構成になっています。

文章の解説が噺家(落語家)口調となっていてちょっと天然ボケな豆腐小僧へのツッコミも小気味良く、本の分厚さも気にならないくらいにテンポよく読み進めることができます。この文体で一冊書き上げる京極夏彦氏恐るべし。。

 

豆腐小僧のあらすじ

特徴的なのは、豆腐小僧が自我に目覚めていく過程を軸にして、妖怪とは何かを順序だてて解説している点である。地震を説明するための妖怪「鳴屋(やなり)」や、死を悟った人間のけじめとして現れる「死神」。そのほか、狸や狐など、その由来や役割が、コミカルな物語に託して論じられる。しかし、そこから垣間見えるのは、人間が感得しなければ、消えてしまう運命を背負った妖怪たちの悲哀だ。本書には、近代化とともに失われていった日本人の心とは何かという深遠なテーマも映し出されているのである。

中島正敏さんが「豆腐小僧」を上記のように解説しています。 妖怪は人が何かを納得するための、事象を整理し飲み込むたの説明理由としての役割があるんだと思います(不思議なことを不思議なままにしておくと、理由が分からず気持ちが悪いですよね)

 妖怪の存在意味は周りの事象にある、その事象を観測した人間が作り上げる。

 

豆腐小僧と同じ、人間の自分探し

「自分探し」という言葉が流行って暫く経ちますが、豆腐小僧でない人も人生で一度くらいは「自分って何だろう?」「生きる意味って何だろう?」と考えたことありませんか?

 

生きる意味って、必要ですか? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

“村上さんは「生きる意味」ってあると思われますか。 私は特に必要ないと思っていましたが、でもあった方が有意義なのかな、ないって非人情なのかな、とちょっと悩んでいます。 是非、村上さんにお聞きしたいです。

2015/02/25 22:04

「村上さんのところ」でも似たような質問があがっていて、村上さんは以下のように答えていました。

 

ほかのところでも言ってきたことですが、生きる意味について考え始めると、話が長くなり、また煮詰まってきます。考えない方がいいと思います。もっと別のことを考えましょう。たとえばヤクルトの投手ローテーションとか。そうすればそこにヤクルトの投手ローテーションがあり、そこにあなたがいて、人生の意味があって、三角測量ができます。わかりやすいですよね。それでいきましょう。

 ちょっと冗談交じりに答えてあるようにも見えますが、個人的にはすごく納得のいく答えでした。

自分の答えを自分の内側に求めず、相手との関係性や環境とのつながり、自分の外に求める方が自分自身の経験からも自然な気がします。それを村上さんは「三角測量」という言葉で表現していますね。

 

「家族といる時の自分」「職場での自分」「友達といる時の自分」どれも同じ自分という一人の個人ですが、関わる相手や環境次第で役割も立ち振る舞いも違ってきます。

人間は社会=人との繋がりの中で生きているのだから、人とのつながりを無視した普遍的な「個」としての自分を探そう!なんてことの方がムリな話なのかもしれません。

「豆腐小僧」を初めて読んだのは学生の時でしたが、「自分の存在を自分の内側ではなく、外との関係性から見つける」という考え方にはずいぶん救われた気がします。

 

 妖怪の自分探しも人間の自分探しも、内に求めるのではなく、外とのつながりに答えを求める「三角測量」が案外うまくいくのではないでしょうか。

ちょっとくどい文章になってしまいましたが、今日はこんなところで。

スポンサーリンク